睡眠時に気道が閉塞される事で、無呼吸や低呼吸の状態が引き起こされます。
すると、体に酸素が足りなくなり、自動的に睡眠が一時的に浅くなり、自発的な呼吸を促します。
この時に、大きなイビキが生じます。
無呼吸や低呼吸が生じる頻度や、血中酸素濃度の低下レベルなどによって、軽度から重度までの間で分類されています。
人間は酸素なしでは生きられません。
閉塞性睡眠時無呼吸症候群では、起きている時では考えられないほど血液中の酸素が低下する事があります。
血中酸素濃度が長時間、大きく低下すると、血管や細胞などがダメージを受けます。
血管がダメージを受ける事によって高血圧・糖尿病(Ⅰ型とⅡ型の両方)の悪化や、心筋梗塞のリスクが高まります。
他に、脳細胞や肝細胞がダメージを受ける事によって認知機能の低下や脂肪肝が生じたりすると考えられています。
重度の閉塞性睡眠時無呼吸症候群の患者では、全死因死亡率が健常者の2-3倍にも上るという調査結果も存在する事から、放置する事はとても危険である事がわかると思います。
一般的な自覚症状は下記の通りです。
日中の過度の眠気
集中力の低下
睡眠中の呼吸停止に続く大きなイビキ
長時間寝たはずなのに、疲れがとれない
治療のゴールドスタンダードはCPAPという装置を使いながら寝る事。
これによって劇的な改善が見込まれます。
他に、日常生活や睡眠時の工夫であったり、体重管理などの生活習慣へのアプローチもあります。
また、軽度の閉塞性睡眠時無呼吸症候群の場合にはマウスピースが使用できます。
閉塞性睡眠時無呼吸症候群では、主に舌根部にて気道の閉塞が起こります。
睡眠時に下顎を前方に移動してあげることで、気道の確保が可能となります。
このマウスピースは、日本の医療保険に適応しています。しかし、保険適応のマウスピースにはいくつかの欠点が存在します。
保険適応のマウスピースの一例
- 上顎と下顎が一体型になっているので、顎の位置の細かい調整ができない。
- 顎を動かすことができないので、息苦しい・気持ち悪い・リラックスできない
ここで、一番大きな問題が「顎の位置の細かい調整が容易にできない」事です。
マウスピースの治療では、まず、治療として効果的な顎の位置を見つける事から始まります。細かい調整が難しいと、まずこれがうまくできない場合があります。他にマウスピースの使用は副作用を伴います。
顎関節症が悪化する可能性
咬み合わせが変化してしまう可能性
起床時の顎の違和感
これら副作用の程度によって、顎の位置を再度調整する事があります。
しかし、上顎と下顎が一体型になっていると、この作業は容易ではありません。
上下が分かれていて、患者自身で顎の位置の微調整が可能なマウスピースは多く存在し、欧米ではそのようなマウスピースが一般的に用いられております。
当院では、閉塞性睡眠時無呼吸症候群に対して、自由診療で上下分離型のマウスピースを作成する事が可能です。
欧米で政府機関の認証を取得している安全なマウスピースです。
マウスピースは日本国内で作られますので、安全性・信頼性については安心です。
SomnoDent のマウスピース
顎関節症が悪化する可能性
顎を通常よりも前方の位置に持ってきて、睡眠時はその位置に固定します。
なので、顎の関節や筋肉への負担がかかります。
よって、顎関節症が悪化する可能性があります。
当院のドクターは、閉塞性睡眠時無呼吸症候群の専門医であると同時に、顎関節症の専門医でもあります。
ですので、両者の症状のバランスを判断して、最善の対処方法を考案する事が可能です。
咬み合わせが変化してしまう可能性
マウスピースを使用していると、起床時に咬み合わせがおかしいと感じる事があります。
これは、筋肉がこわばっているために生じる、一時的な症状であり、ストレッチをする事で改善します。
しかし、ストレッチや定期的な経過観察を怠ってしまうと、こわばった筋肉の位置で下顎の骨が落ち着いてしまう事があります。
これにより、永久的に咬み合わせの変化が生じてしまう可能性があります。
当院では、筋肉のこわばりや咬み合わせの変化について、定期的に診査を行い、このような事が起こらないように、細心の注意をはらいます。
起床時の顎の違和感
長時間、同じ姿勢で座っていると、筋肉や関節がこわばります。
無理な姿勢を取っているならばなおさらです。
マウスピースは、顎を通常の位置より前方に移動します。
このまま一夜を明かすので、起床時には顎がこわばった感じや、咬み合わせの違和感が生じます。
無理な姿勢を続けても、軽くストレッチをすれば、こわばりがほぐれるのと同じように、顎も起床時にストレッチをしていただくことで、この違和感はすぐに消失するので問題ありません。